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にんにくは大昔、空中庭園で栽培されていた?
古代書物によると、紀元前3750年のエジプト王墓の中からにんにくの粘土模型が発見されていたそうですが、実際のにんにくは紀元前1300年頃のエジプトの王ツタンカーメンの墓の中から発見されたのが最初だそうです。墓に供えるものは、死者の魂が永遠に安らかであるように、という願いが込められていたはずであり、にんにくがその役割を担うものであったのでしょう。古代人の日常におけるにんにくの主な利用法は、獣肉や魚肉の防腐、ニオイ消し(現代でいうマスキング効果)であり、常備薬としての消毒薬、腹痛止め、などであったはずです。日常生活の中で高い価値評価を得ているにんにくですから、死者の埋葬に際してにんにくを備え、魂の末永い安寧を願ったのもよく理解できます。 にんにくは、ウズベキスタンを中心にした中央アジア地域にその原種がみられるように寒冷な気候を好む植物で、古代エジプトでの栽培は容易ではなかったものと思われます。記録があるものとしては、エジプトの北東に隣接するバビロニアについて、発掘された粘土板によると、紀元前600年頃の新バビロニア王国の首都、バビロンの有名な空中庭園(Hanging Gardens)※でも栽培が行われていたということです。 古代、栽培作物はすでに共通の流通商品であり、最も古い栽培作物のひとつと考えられているにんにくも栽培され、長期間の隊商の旅にも、まったく腐敗せず運ぶことができたことから、大切な流通商品であったのです。 高度な技術を持っていたと言われている古代都市の先人たちは、にんにくを食べて健康を維持し、肌に塗りつけて傷をいやしながら新たなアイディアを思い浮かべて、近代社会への道を開いていったのかもしれませんね。 ※バビロンの空中庭園は紀元前600年頃、新バビロニア王国の首都バビロンにネブカドネザル2世が建立した階段状の庭園です。メディアという遠方の緑豊かな国から砂漠のバビロンに嫁いだ王妃を慰めるためにつくったものと言われ、あまりの大きさゆえに遠くから見ると空中に浮いているかのように感じられたことから「空中庭園」と呼ばれるようになりました。こちらもチェック!
にんにくの歴史